夕方、散歩してるとどこからか聞こえてくるバリトンの美声。夏場ゆえ、陽が陰ってきた時間には窓を開けるお家もあるのでしょう。オペラのアリアかイタリア歌曲をだれかが歌っているのか?と思い、声のするお家に近づくと朗々とした歌声がはっきり聞こえてきました。ところがよくよく聴いていると、言葉は日本語のようです。それも聞き覚えのあるフレーズ。
30秒ほど電信柱の前で立ち止まり聞き入っていると思い出しました。この曲は加山雄三の「旅人よ」。カラオケでもなく、ただ鼻歌というのでもなく、お腹からしっかり声を出しているので、まさか加山雄三のそれとは思いませんでした。歌っている人は僕に聞かせようとしているはずもなく、でも僕は何とも心和むひととき。人のために役に立つとか、用いられるのはそんなささやかな場面なのかもしれないと思ったのでした。
