一輪の彼岸花がすくっと咲いていました。鮮烈な朱色が目にまぶしく。群生しているわけでもないのに「ここはわたしの場所よ」と主張しているようにも見えました。曼珠沙華という異名もこの花の醸し出す雰囲気にはよく似合っているなと思ったり。
不思議なのは、昨日まではそこになかったはずなのに、今朝はそこに咲いていたことです。地面から三〇センチほどでしょうか、細身の茎はいつの間に伸びたのでしょう。「わたしはずっとここにいたのよ」とアピールせずとも目を惹く花はいつの間に開いていたのでしょう。「人が土に種を蒔いて、夜昼、寝起きしているうちに、種は芽を出して成長するが、どうしてそうなるのか、その人は知らない」というイエスさまの言葉が思い出されます。「そんなことも知らないの?」と彼岸花の声が聞こえてくる心地がしました。
