日が暮れるのが遅くなってきたなぁと思っていた夕方のことです。制服を着た中学生の男子が目頭を押さえながら、うちの前をとぼとぼと歩いて行きました。多感な年頃、男子でも泣きたくなることがあるのでしょうか。学校でいじめられているのではないか。部活動でレギュラーに選抜されず、悔しい思いをしたのではないか。あるいは好きな女の子に告白したけど、彼女は三学期末で転校が決まっていたことを告げられ寂しさに胸が押しつぶされそうになっていたのか。と、勝手に彼の甘酸っぱい青春の一コマに思い巡らせます。そうしたら僕まで涙が滲んできました。目の前を通り過ぎた男子にそんなに感情移入してしまったのかとも思ったのですが、そうではありませんでした。僕の涙は花粉症で目が痛かったというだけのこと。彼の青春ストーリーも花粉症の痛みと共に消えていきました。